個人の「マインド」から組織を変える〜ビズクリサポーターの支援事例・森田祐司〜

森田 祐司 もりたゆうじ
上場断念の挫折が、経営支援への原動力に
まずは森田さんのこれまでの歩みと、なぜ経営支援の道を選ばれたのかをお聞かせいただけますか。

キャリアのスタートはメーカーでした。当時、その会社が株式公開(IPO)を目指していて、私は経営計画の策定や予算管理といった上場準備の実務に携わらせてもらっていたんです。
ただ、結果的に上場は叶いませんでした。
そうだったのですね。当時の思いはいかがでしたか?

正直、ものすごく挫折感がありました。しかし、同時に「もっと深く経営に携わりたい」「企業の成長を支える力をつけたい」という思いが強く芽生えたんです。
そこで一念発起して中小企業診断士の資格を取り、経営コンサルティング会社へ転職しました。その後、NTTグループの人材・組織開発を担う企業で15年ほど経験を積み、現在は独立して活動しています。
ご自身の悔しい原体験が、今の支援スタイルの根幹にあるのですね。

そうですね。特に30代半ばの頃、「コンサルタントとしてどうありたいか」を自問自答し続けました。その結果、単に数字を管理するだけでなく、そこで働く「人」や「キャリア」に寄り添いたいという軸が定まりました。
現在は、中小企業から大企業まで、個人の長期的なキャリア形成を支援する「キャリア開発」、個人のスキル獲得を支援する「人材開発」、チーム全体のパフォーマンスを強化する「組織開発」という3つの領域を横断しながら経営支援を行っています。

変革は「マインド」からしか生まれない
森田さんが経営支援を行う上で、大切にしているスタンスはありますか?

「どうなりたいか」の前に、まず「どうありたいか」を定めることです。
組織であれ個人であれ、変化を生み出すには重要な要素があります。それが「マインド」「能力」「行動」「成果」です。これら4つのステップを順に踏まないと、本質的な変化は起きないと考えています。
まずはマインドが起点になる、ということですね。

はい。例えば「能力」だけにフォーカスした「スキルアップ研修」だけを行っても、それを使う本人のマインドが整っていなければ行動は変わりませんし、いきなり行動だけ変えようとしても無理が生じます。
だからこそ、私はまず組織や個人の「どうありたいか=アイデンティティ」に向き合ってもらうようにしています。同時に「いかに外部環境に適応するか=アダプタビリティ」という要素も勘案しながら、この2軸で組織と個人のベクトルを合わせていくのが私のスタイルです。
具体的には、どのようにベクトルを合わせていくのでしょうか?

例えばチームビルディングのワークショップを行う際は、社員一人ひとりの個人的な目的を深掘りすることから始めます。
「なぜそう思うのか?」「本当はどうありたいのか?」と対話を重ねて抽象度を上げていくと、バラバラに見えていた個々人の思いの中に、実は共通する根っこが見つかります。それを組織としての共通目的に統合していくんです。そうやって「自分たちはこうありたいよね」と言語化していくプロセスを大切にしています。

評価制度は「テクニック」ではなく「メッセージ」
ここからは具体的な支援の流れについて伺わせてください。森田さんらしい支援のエピソードはありますか?

あるクライアントで行った「評価者研修」の事例がわかりやすいかもしれません。
人事評価制度の研修というと、どうしても「公平に評価するにはどうするか」「エラーをなくすにはどうするか」といったテクニカルな部分に意識が向きがちです。人事担当の方も、透明性や納得感をどう担保するかを気にされます。
確かに、評価する側としては「間違った評価をして文句を言われたくない」という心理が働きそうです。

そうなんです。でも、本来の目的はそこではないですよね。
そのクライアントでは、まず「組織の目標と個人の目標をどう連動させるか」という根本的な部分から見直しました。目標管理制度を運用されている企業さまでしたが、「目標設定」「評価」「フィードバック」の3つのステップにおいて、単なるルール運用ではなく、管理職自身の「思い」を乗せることを重視したんです。
管理職の思い、ですか。

ええ。経営戦略と個人のキャリアの連動性はもちろん意識した上で、「私たちのチームはこういう姿を目指している。だから、君のこういう行動を私は高く評価したいんだ」という、管理者自身のポリシーやメッセージを評価基準に織り込むようアドバイスしました。
なるほど。単なる点数付けではなく、対話のツールにするわけですね。

その通りです。特にフィードバックは「評価を伝えて終わり」ではありません。その結果を次なる成長やチャレンジに繋げてこそ意味があります。
「どう伝えれば行動変容につながるか」を管理職の方々と徹底的に議論しました。
その結果、「今まで評価に悩んでいたけれど、基準がクリアになった」「チームで目標設定をもう一度やり直してみます」といった前向きな声をいただきました。

「これが私の支援スタイル」
昨今、副業やリモートワークなど働き方が多様化する中で、組織づくりはますます難しくなっているように感じます。その中で、森田さんはどのように経営支援を行っていきたいと考えていますか?

おっしゃる通り、組織には今、強い「遠心力」が働いています。つまり、放っておけばバラバラになってしまう時代だと言えるでしょう。だからこそ、組織として軸をつくり、求心力を保つことが不可欠です。
今やかつてのように「組織に滅私奉公する」という関係性はもう成立しません。組織と個人は対等であり、お互いに貢献し合い、共に良くなる「Win-Win」の関係であるべきです。
森田さんの支援はどのような企業にフィットするとお考えでしょうか。

「社員と組織、双方が幸せになる道を探したい」と考えているクライアントです。
個人の生き方や選択を組織が強制することはできません。だからこそ、組織が魅力的な軸を示し、そこに共感した個人が主体的に力を発揮する。そんな環境を作りたい経営者の方と、ぜひご一緒したいと思っています。
「人材」「組織」「キャリア」の3つの観点から、御社の最適解を一緒に見つけていきましょう。
【森田祐司のおすすめ書籍】
『学習する組織』(ピーター・M・センゲ著)
組織開発のバイブル的な一冊です。少し難解な部分もありますが、組織は個人の集まりであり、どうベクトルを合わせていくかという本質が詰まっています。私の支援のベースにある考え方も、この本から多くを得ています。
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(リンダ・グラットン / アンドリュー・スコット 著)
人生100年時代、会社に依存せずどう自律的に生きていくか。組織と個人の新しい関係性を考える上で、経営者にも社員の方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。




