「次の一手」がわかる経営支援を〜ビズクリサポーターの支援事例・鈴木亨〜
2026.10 14
  • Writing

    Takumi Kobayashi

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    Bizcre編集部

「次の一手」がわかる経営支援を〜ビズクリサポーターの支援事例・鈴木亨〜

それぞれが培ってきたバックグラウンドやスキルをもとに、経営者のガイドランナーとして伴走するビズクリサポーターたち。日々どんな課題に対して、どんな考え方で、どんなアプローチを行っているのか。ここではビズクリサポーターたちが取り組んできた支援事例をご紹介します。今回登場するビズクリサポーターは、商業施設の開発・運営の現場で28年間のキャリアを積み、現在は業種を問わず経営支援を行う鈴木亨さんです。「言いっぱなしにしない」を信条に、計画と行動を連動させながら伴走する支援スタイルについてお聞きしました。
「次の一手」がわかる経営支援を〜ビズクリサポーターの支援事例・鈴木亨〜
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鈴木 亨

鈴木 亨 すずきとおる

すずらん経営支援事務所 中小企業診断士
小売業、卸売業、サービス業、医療福祉関連業など、幅広い業界での支援経験を持つ。小売や商業施設の分野では、実際に事業の立ち上げから運営まで経験。様々な現場を見てきたからこそ、実務に則した温度感のある伴走支援を得意とする。事業目的から数字・行動に至るまでの一貫性と具体性を重視し、中小企業の売上向上と経営改善を支援。また、公的機関での経営支援の実績も多数。

「次の一手」がわかる計画をつくる

鈴木さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

大学卒業後、商業不動産の開発・運営を行う会社に入社しました。新たな施設の立ち上げからマーケティング、営業、人材育成など幅広い業務を経験して、キャリアの基盤をつくりました。
中小企業診断士として独立後は、製造業、建設業、教育関連など、業種を問わずさまざまな中小企業の経営支援を行っています。相談内容は多様ですが、「経営状態が悪いけれど、理由がわからない。何から手を付ければいいか、教えてほしい」といったケースが多いです。マンパワーが不足している中小企業の場合は、経営改善に専属で取り組む人材を配置する余裕がないため、外部の支援者として私がサポートに入っています。

 

経営支援において、最も意識されていることは何でしょうか?

「言いっぱなし」にならないことです。ヒアリングして、提案書をつくって「この通りに取り組んでください」と伝えるだけでは、企業の課題は解決しません。
大切なのは、提案を見た経営者や従業員の方々が、「自分たちは明日からどんな行動をしたらいいのか」がすぐにわかることです。そのためには、計画と行動を連動させる必要があります。たとえば「売上を200万円まで上げる」と言うだけでは何も変わりません。「何人の従業員の方が、毎日こういう行動を取れば、数字が積み上がって売上200万円を達成できる」というところまで落とし込むのです。
行動ベースで数字を把握して、到達度をチェックして、改善していくといったPDCAが回せる仕組みをつくることが、支援者の役目です。「明日から何をするべきか」を常に提示できる存在でありたいと思い、私の事業コンセプトは「次の一手」としています。

 

想いと数字から課題を特定し、解決に向かって伴走する

実際に経営支援を行う際は、どのような進め方をされるのでしょうか?

まず経営者の方からお話を伺います。事業の概要はもちろん、どのような経緯・どのような想いで起業したのか、今までどのような苦労があったのか、今どんなことで悩んでいらっしゃるのか、など自身のことについても話してもらいます。それと並行して、売上の推移や構成比など過去の数字を全て確認します。経営状態が悪ければ、大抵は数字に表れてきます。

 

想いと実績、双方の側面からヒアリングするのですね。

はい。「おそらくここに問題がありそうだ」という仮説を立てた後は、従業員の方とコミュニケーションを取ったり、現場を訪問して状況を確認したりします。そうすると、製造ラインのある工程がボトルネックになっていたり、従業員の教育システムが機能していなくてサービスの質が落ちていたりといった、具体的な課題が見えてくるのです。

 

課題を特定した後は、どのように進めるのでしょうか?

経営者の想いや現場の課題を踏まえた上で、課題解決のための計画・施策を提案します。さらに、その計画・施策を推進した先には、どのような状態になっているのかという将来像も提示するのが私のスタンスです。つまり、「本来、あなたが目指したいのは、こういうことですよね。でも、現状はこうなっています。それならば、改めてこういうかたちで事業をつくり、このような施策を進めると、このような状態になっていくのではないでしょうか」と組み立てていくイメージです。その後は、ヒト・モノ・カネという経営資源の分配や具体的な施策の推進、経営数字のモニタリングなどに伴走していきます。

 

隠れた強みを定義し、業績が復調

具体的な支援事例を教えていただけますか?

あるメンテナンス業のクライアントの事例です。経営状況が悪化したことで相談を受けて、私が支援を行うことになりました。ヒアリングを重ねていると、経営者の方のバックグラウンドの中に隠れた強みがあることに気づきました。

 

どのような強みが隠れていたのでしょう?

メンテナンス業界は、配管や舗装など分野が多岐にわたっており、分業化が進んで、それぞれが縦割りで事業を行っているという特徴があります。経営者の方も、さまざまな分野を経験した後、業界の慣例に倣ってある特定分野で独立しました。
しかし、各分野を経験し、それぞれを熟知しているという経験値は、大きな強みです。経営者の方は、一つの分野をひたすら突き詰めるものだという業界特有の先入観がありましたが、分野を跨げば幅広く仕事を受けられる可能性が広がっています。一つの事業に絞ってしまうと、多くの競合がいるため、どうしても価格競争に巻き込まれてしまいます。
経営者の方とよく話をした上で、「そもそも質の高いメンテナンスを行うには、各分野の連携が非常に重要で、あなたならそこで価値を発揮できる」と伝えました。

 

その後、実際にどのような施策を行ったのでしょう?

たとえば、従来は設備をメンテナンスする際には、さまざまな事業者や職人と個別に対応しなくてはならないケースがほとんどでした。そこで、その企業が、一つの窓口で対応できるようにしたのです。さまざまな事業者や職人を取りまとめながら、どのような工事が・どのようなタイミングで発生して・どの程度のクオリティを・どのような費用で対応できるのかを提案します。そして、納品まで責任を持つという、いわば技術コンサルティングのような事業に注力するようにしました。

 

事業の方向性が変わったのですね。

そうなのです。特定分野における「メンテナンスの請負業」だったのが、「メンテナンスのプロデューサー」という立場になりました。その転換に合わせて、情報発信や営業方法も全て変更しました。その結果、業績は完全に回復しています。

 

「これが私の支援スタイル」

鈴木さんは、どのような経営者に向けて支援を行いたいと考えていますか?

「頑張っているのに、売上や利益が増えないというお悩みを持っている方は、お問い合わせください」とあらゆるシーンでメッセージを発信しています。「頑張っているのに売上や利益が数字に表れない」ということは、必ず仕組みのどこかに問題があるのです。それはヒアリングしたり、財務諸表を確認したりすれば、大抵の原因はわかります。

 

「頑張り方」自体に課題があるということですね。

はい。「頑張り方」に関してさらに言うと、「自分がどうあるべきか」「どんなことを成し遂げたいのか」という想いが定まっていないと、頑張りが続かなかったり、やりたいことと施策の整合性が取れていなくて成果が出なかったりといった状況に陥ります。そこで必要になるのが理念です。

 

理念がないと、どのようなことが起きるのでしょう?

経営のあらゆることが、ちぐはぐになってくるのです。たとえば、それまで縁のなかったサービスを突然始めてみたり、同じ事業であっても商品の印象がバラバラになってきたり。また、社員の採用・育成も一貫性がないため、現場のモチベーションも下がり、生産性も落ちてしまいます。全ての土台となる理念があり、それを具現化するための戦略を策定して、施策を推進するという一貫性が、経営には重要です。その一貫性を担保する上では、ビズクリクラウドは、とても重宝するツールだと思っています。

 

鈴木さんのビズクリクラウドの使い方を教えてください。

まず理念の確認や事業を行う目的の整理を行うフェーズから使います。具体的に何をやるのか、その根拠となる強みや機会は何か、などヒアリングした内容を、該当欄にどんどん埋めていくのです。ビズクリクラウドには、確認するべき項目が網羅されているので「これはまだ聞いていない」「こういう視点が自分は抜けていた」という確認ができます。

ビズクリクラウドのヒアリング画面のイメージ

ヒアリングの抜け漏れを防ぐことができるのですね。

そうですね。また、思考をアーカイブして、見返せるという点も大きいです。計画を修正しなければいけないときや、新しい事象が発生したとき、あるいは計画がうまくいかないときに、「なぜうまくいかないんだろう」「そもそも自分は何をしたかったのだろう」と目的にまで遡って考えることができます。そうすることで、ブレのない経営を行うことが可能になると思います。

 

最後に、経営者の方へメッセージをお願いします。

計画は常に見直して、チューニングしていくからこそ磨き上げられていくものです。支援者と事業者が議論し合いながら、PDCAを回して進めていくのが理想のかたちだと思います。みなさんの経営のお力になれたら幸いです。

 

鈴木亨のおすすめ書籍

『会社の値段』(森生 明著)

ファイナンスは数字というより企業の思想表現、いわば哲学だと感じました。

『私の中の企業支援と再生:中小企業と金融機関双方の現場から』(伊藤 貢作著)

自身の今後の支援の在り方をこの本でよく振り返っています。

『アイデアのつくり方』(ジェームス W.ヤング著)

アイデアは急に湧いて出るものでは無く、促す方法があることを知った一冊です。

会社の値段

森生 明(著)
単行本 ¥1,012

アイデアのつくり方

ジェームス W.ヤング(著)
単行本 ¥1,298

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