【後編】共創するからこそ強い理念ができる。ビズクリサポーターに聞いた「理念・ビジョン・経営戦略」のQ&A
2026.06 17
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    Takumi Kobayashi

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    Bizcre編集部

【後編】共創するからこそ強い理念ができる。ビズクリサポーターに聞いた「理念・ビジョン・経営戦略」のQ&A

「理念・ビジョンは大事だとわかっている。でも、何から手をつければいいかわからない」「経営戦略を考えたくても、日々の業務に追われて時間が取れない」——こうした感覚を抱えながらも、なかなか一歩を踏み出せずにいる経営者の方も多いのではないかと思います。 そもそも理念・ビジョンや経営戦略は、なぜ必要なのでしょうか。それらをどのように形にすればいいのでしょうか。また、ビズクリサポーターのような支援者を頼る意義とは何でしょうか。 今回は前回に引き続き、ビズクリサポーターの方々4名に、理念・ビジョンや経営戦略について経営者の方々が感じている疑問に答えてもらいました。
【後編】共創するからこそ強い理念ができる。ビズクリサポーターに聞いた「理念・ビジョン・経営戦略」のQ&A
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毛利 貴之

毛利 貴之 もうりたかゆき

家電メーカー勤務 中小企業診断士
家電業界にて、ソフトウェアの開発、新規商品開発、業務プロセス改善やAI・IoTを活用したソリューション提案、CRM施策の企画・運営などに従事。相手の考えを引き出し、可視化することでクライアントが納得する戦略策定を行うことに強みを持つ。さらに戦略を実行できる支援者として、現場の視点を大切に実装と運用まで一貫して支援する。
木村 隆人

木村 隆人 きむら たかひと

中小企業診断士、行政書士
2007年に中小企業診断士登録後、企業内診断士として活動。外国人の就労支援や、人事戦略としての外国人採用・活用支援など、外国人雇用に関わる問題や課題をサポート。一人ひとりに向き合い、寄り添う伴走支援を心がけている。
西田 雄一郎

西田 雄一郎 にしだ ゆういちろう

かんさい経営サポート代表、中小企業診断士、MBA、事業承継士
地方銀行で法人融資に従事した後、大手ITベンチャー企業で組織変革のマネージャー職や営業責任者を経験。現在は製薬会社の学術推進部でMR教育、専門医対応業務、マーケティングに従事しながら、副業として中小企業の経営戦略・パーパス経営・事業承継・営業強化を支援。
立田 順司

立田 順司 たつた じゅんじ

中小企業診断士、事業承継士
大阪の大手家電メーカーでマーケティング・広告・輸出入業務に従事。同社を退職後、商工会議所、中小企業団体中央会などの公的支援機関において、事業者支援を行っている。経営退室の改善や事業の磨き上げ、後継者育成などの多くの経営支援を経験。経営者・後継者と共に、事業が将来にわたり、継続・成長することをサポートする。

前編はこちら

Q.理念・ビジョンの必要性をいまいち理解できていません。理念・ビジョンをつくらないことでどのような弊害が生まれるのでしょうか?

毛利貴之さん:

経営者自身はもちろん、従業員も含めて、組織全体として「どこに・どのように進むべきか」という方向性がわからなくなってしまうと考えられます。それぞれ考えていることが異なるため、足並みが揃わないという状態に陥ってしまうことでしょう。

 

木村隆人さん:

恐らくおぼろげでも「こういう事業をつくっていきたい」というイメージを持っている企業自体は、多いのではないかと思います。しかし、なぜそこに向かうのか(=理念)、どのように向かうのか(=戦略)をしっかり認識・定義している企業は少ないのではないでしょうか。理念・ビジョンや経営戦略が不在だと、事業は目先の売上・利益を追うだけのものになってしまいます。そうした経営姿勢は、企業の持続可能性を損なうリスクがあります。

 

西田 雄一郎さん:

理念・ビジョンがないと、その会社の羅針盤がない状態であり、方向性を見失いかねないです。
また、社長がこのような会社にしたいという気持ちや、どう社会に貢献したいという思いが、
従業員や取引先などに伝わっていない可能性があります。

 

立田順司さん:

中小企業診断士として経営支援の第一線で活躍するビズクリサポーター・青木宏人さんの話しでも「理念で飯が食えるのか」とクライアントから言われたというエピソードがありました。企業がありたい姿を言語化した理念・ビジョンや、5年~10年ほど先を見据えた中長期的な経営戦略がないと、目先の売上・利益に追われてしまい、結果的に従業員が疲弊したり、協力が得られない状態になったりするのではないかと思います。

 

Q.理念・ビジョンをつくりたいと思ってはいるけれど、目の前の業績をあげることで手一杯になってしまいます……。

毛利貴之さん:

組織が目指す姿が全社で共有されていれば、従業員たちも経営者と同じ目線で業務に取り組むことができます。そうなると、業績も必然的に上がることになるでしょう。「急がば回れ」で、現状の業務の20%を効率化して、理念・ビジョンや経営戦略を策定することの優先度を上げることをおすすめします。

 

木村隆人さん:

日々の業務が忙しすぎて中長期的な視点を持てていない状態は、望ましいものではありません。一度立ち止まって、仕事内容を整理・整頓する必要があります。
たとえば、現在抱えている案件や業務を全て洗い出して、惰性で続けているものは潔く辞めたり効率化したりして見直してほしいと思います。本来、理念・ビジョンや戦略があれば、それらに沿った案件や業務に絞ることができるので、結果的に余裕も生まれます。

 

西田 雄一郎さん:

経営者が仕事を抱え過ぎていることが大きな要因になっているケースがよく見受けられます。できるだけ権限委譲を進めて、経営者が短期的な日常業務の遂行より中長期的な経営戦略の構築にリソースを割けるようにする必要があります。私が支援する際には、「従業員でもできる業務はないか」「従業員に不要な業務がないか」「経営者頼みの営業になっていないか」といったことを確認しています。

 

立田順司さん:

まさに今、中東情勢の影響を受けて、原材料が高騰したり入手困難な状況が続いていて、対応を迫られている企業も多いかと思います。このような状況下でこそ従来の戦略や仕事のあり方を見直して、社内に新たな考え方を導入する契機ではないかと考えます。
もちろん業績が悪化しないように緊急性・重要性の高い事項に取り組みつつも、緊急性はそれほど高くないが、重要度は高い中長期な方針・経営戦略を強制的に考える機会が生まれたとも言えるでしょう。自社の強みを発揮できる事業機会はどこにあるのか、どんな経営資源を有しているのか、どのような仕組みをつくればいいのか、検討してみていただけたらと思います。

 

Q.理念・ビジョンや経営戦略の必要性を感じてはいるが、どのように進めればいいかわかりません。どのくらいの時間をかけて、何を行うべきなのでしょうか?

毛利貴之さん:

5年後、もしくは、10年後にどのような会社でありたいか、また、どのような価値を顧客や社会に提供する会社なのかを考えるのが基本です。もしかしたら将来的に自社の「製品・サービス」は変わるかもしれません。それでも変わらずに提供していたい「価値」は何なのかを考えてみるといいのではないでしょうか。

 

木村隆人さん:

私が支援する場合、経営者の想いを紐解くことから始めます。「事業を始めたとき、どんな気持ちだったのか」「そのときに思い描いていた将来像はどのようなものか」「社会とどのように関わっていきたいか」などをヒアリングしながら、言葉の背景にある細かなニュアンスまで汲み取ります。そこから3カ月から半年ほどかけて経営戦略を構築し、5年ほど先の目標を設定した上で毎年達成状況を確認しながらフィードバックしていきます。

 

西田 雄一郎さん:

まずは経営者の想いを整理・整頓することからスタートします。経営者の生い立ちから聞いて、どのような価値観が・どのように育まれていったのかを確かめます。
また、理念・ビジョンは、それぞれの従業員の思いが反映されていて、自分と組織の目指す方向が地続きであると感じられる状態が理想だと言えるでしょう。策定する際は、従業員にアンケートを実施し、それぞれの思いを理解するプロセスを踏むことをおすすめします。
これらを踏まえて、経営幹部のみなさんで話し合いましょう。
話し合うことで、理念・ビジョンが構築されるとともに、チーム力の強化が期待できます。

 

立田順司さん:

私自身、補助金や融資、事業承継の相談を受ける中で、短期的な戦略・戦術の見直しを行うケースもあります。たとえば、補助金申請に伴う事業計画書を作成するため、現状の経営資源を分析し、不足している資源を突き止め、それを補助金で補填することで、どのようなチャレンジを行うのか、見通しを立てることに伴走するのです。
ただ、外部環境の変化が激しいため、5~10年先というもっと長い時間軸で会社の将来像を見据えて、逆算して考える「ビズクリメソッド」のアプローチも並行して行う必要性を感じています。仮に上記のやり方で補助金が採択されたとしても、事業計画書通りに実施できているかを確認しつつ、中長期的な視点に立って経営戦略をつくったり見直したりする機会を持つことが大切だと考えています。

 

Q.理念・ビジョンや経営戦略を自社でつくろうかと考えています。理念や経営戦略を構築するのに支援者を入れることには、どのような意義があるのでしょうか?

毛利貴之さん:

理念・ビジョンは、社内にとどまらず、社外のステークホルダーも目にするものです。その際に、会社が目指すべき姿が社外にどのように受け止められるのか、客観的な目線からチェックしたり、アドバイスしたりする存在は必要だと思います。

 

木村隆人さん:

もちろん理念・ビジョンや経営戦略は自分でつくることが理想です。しかし、それを体現できるようにするためには、支援者の介入が鍵になるシーンも多くあります。たとえば、経営者にNOと言いづらい管理職や従業員の意見を掬い上げ、それを上手く経営者に共有し、組織全体の共通認識をつくっていく橋渡しの役割も期待できるでしょう。

 

西田 雄一郎さん:

客観的な視点を担保しながら、理念・ビジョンを構築できることが大きいでしょう。つまり、「したいこと・できること・必要とされていること」の3点を整理・整頓してもらえます。支援者との対話の過程で経営者自身が気づきを得られることが、大きなメリットだと言えます。

 

立田順司さん:

支援者とは「経営者と信頼関係を構築し、経営者をリスペクトし、経営者の想いに寄り添う存在」です。経営者が理念・ビジョンや経営戦略を策定する過程で上手くいかないことがでてきた際、支援者に頼れば自身が思いつかない視点や専門的な観点から助言を得られるという意義はあると思います。最適な助言ができるよう、私たちビズクリサポーターも常にアンテナを立てて日々知識・スキルの研鑽に勤めなければと肝に銘じています。

 

Q.支援者に何を・どこまで・どのように頼るべきか、迷っています。最後に、経営活動において自身で決定するべきこと・他者に頼ることの切り分けをどのように考えたらよいでしょうか?

毛利貴之さん:

「自身で決定するべきこと」は、会社のありたい姿や目指すべき到達点についての方向性でしょうか。「支援者に頼ること」は、上記の方向性を社内外でよりよく受け止められ、波及していくような言語化のサポートだと言えるでしょう。

 

木村隆人さん:

現実的には、経営者の考え方によるのではないかと思います。「支援者には頼りたくない」という想いも尊重されるべきですから。ただ「少しでも専門家の意見を聞きたい」ということであれば、許容できる範囲内で経営者自身が徐々に意見を請うていけるようになるといいかなと思います。

 

西田 雄一郎さん:

社長がご自身で決定されることが基本だと思います。それを前提にして、社長の思い・やりたいことを
言語化し、見える化のお手伝いをするのが支援者です。
社長はご自分の業種において、支援者よりもよく知っておられると思いますが、
支援者はその業種を第三者目線でみることができることに価値があります。
社長の経験や考え方に、第三者目線という客観的な考えを取り入れることで、
より企業としての成長が期待できます。

 

立田順司さん:

支援者はあくまで社外の第三者です。選択肢を提示したり、助言を行ったりすることはできますが、経営活動の結果責任を取ることはできません。だからこそ、「決定すること」は経営者にしかできない大切な役目だと思います。
理念・ビジョンや経営戦略など経営における上位概念はもちろん、事業や業務といったレイヤーにおいても「助言はもらうが、方向性を決定するのは経営者」という意識を持っていただくのがよいのではないかと考えています。

 

まとめ

いかに経営者自身の想いを紐解けるか、いかにステークホルダーに届く言葉に昇華できるか、いかに経営者がよりよい意思決定を行うための材料を提供できるか……理念・ビジョンや経営戦略を企業の資産にするために活動する支援者たち。今回答えてくれた4人のビズクリサポーターも、日々経営者の力になれるように研鑚を積んでいます。 もし経営支援の必要性を感じましたら、ぜひビズクリサポートの活用もご検討ください。

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