これからの中小企業診断士は事業のコンセプトも手掛ける?
2025.03 26
  • Writing

    Takumi Kobayashi

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    Thesaurus inc.

これからの中小企業診断士は事業のコンセプトも手掛ける?

中小企業診断士が手掛ける「経営支援」と言っても、補助金申請の支援から業務フローの改善まで、さまざまなケースがあります。しかし、「事業のコンセプトをつくる」業務を手掛けたケースは意外と語られてはいません。 東京商工リサーチによると、経営コンサルティング会社の倒産件数は2024年には過去最多に。業界全体が苦境に立たされているなか、中小企業診断士が活路を見出していくためには、ブランディング領域に踏み込むこともひとつの選択肢であると言えるでしょう。そこで、今回は中小企業診断士が事業コンセプトを手掛ける意義や実例をご紹介します。
これからの中小企業診断士は事業のコンセプトも手掛ける?
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中小企業診断士が事業コンセプトを手掛ける価値と意義

もしかしたら「事業のコンセプト立案という領域は広告代理店やクリエイターなどが手掛ける領域なのではないか」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、クライアントの経営全般を俯瞰して眺めることができる中小企業診断士が事業のコンセプトも立案できるようになれば、これほど頼もしいことはありません。むしろ、経営全般を把握できる力があるからこそ、地に足が付いた推進力のある事業コンセプトを策定できる可能性があるでしょう。

中小企業診断士は、財務、人事・労務、販売・マーケティング、生産管理など、経営のあらゆる側面に精通しています。たとえば、財務諸表を分析することで、その企業の収益構造や資金繰りの課題を把握できます。人事・労務の観点からは、組織体制や社員のモチベーションの問題点が見えてきます。販売・マーケティングの視点からは、顧客ニーズの変化や競合他社の動向を捉えることができます。生産管理の知識があれば、オペレーションの非効率性やコスト構造の課題にも気づくことができるでしょう。

このように多角的な視点を持って経営課題を分析し、企業の実情を的確に把握していくアプローチは、中小企業診断士ならではのものと言えます。もちろんそれぞれに得意な分野、苦手な分野はありますが、部分最適ではなく全体最適を目指し、クライアントと同じ目線に立って伴走型の支援を行うことには変わりありません。こうしたスタイルは、事業のコンセプト策定においても、大きな価値を発揮します。

事業コンセプトとは、いわば企業のビジョンや競争優位性を端的に表現したものです。企業理念とどのように関連しているのか。社員の思いやオペレーション上の強みを汲んだものであるか。そうした経営全般を俯瞰した観点で整合性を取る必要があります。

経営課題の抽出から、課題解決の方向性の提示、そして事業コンセプトの策定までを一気通貫で支援できるのは、中小企業診断士の独自性だと言えるでしょう。

※イメージフォト

客単価が2倍以上に!?実際に行われた中小企業診断士の事業コンセプト支援事例

ここで実際に中小企業診断士が事業のコンセプト支援で価値を発揮した事例を紹介します。

取り上げるのは、創業から100年以上の歴史を持つ老舗寝具店の京都八田屋です。4代目社長が旗を振り、オーダー枕事業などに注力していたものの、近年では、大手家電量販店や他の寝具専門店との競合が激化し、売上が伸び悩んでいました。そこで地元の中小企業診断士に相談したのです。

そこで、中小企業診断士は「枕を売る店」ではなく、「眠りの悩みを解決する店」という事業コンセプトの策定を提案しました。この提案を受け、京都八田屋では、オーダー枕だけでなく、掛け布団、 ベッドパッド、マットレス、ベッドシステムの組み合わせを変える事によって、3000 通り以上の寝心地を開発しました。この組み合わせの中から、睡眠環境診断士である八田社長が、お客様の眠りに関する悩みをヒアリングし、解決する組み合わせを提案・販売する体制へとアップデートすることにしました。

その後、支援を始めてから約3年間で売上高は144%、経常利益は155%、客単価は211%に向上しました。

※参考:一般社団法人中小企業診断協会「平成 27 年度『中小企業診断士の活用成功事例』」

中小企業診断士の業務範囲に制限をかけない

事業コンセプトの策定という業務は、これまで中小企業診断士の主戦場ではなかったかもしれません。しかし、中小企業診断士を取り巻く状況はもちろん、ビジネス環境そのものが大きく変わっている今、「中小企業診断士は、こういう仕事を担うべき」と制限をかけるべきではないと言えます。京都八田屋の事例からも分かるように、中小企業診断士の知見やスキルを活かせば、ブランディング・マーケティングの領域でも大きな成果を上げることができるのです。

中小企業診断士の可能性を拡張していくのは、他でもなく意欲的な中小企業診断士の方々です。経営全般を俯瞰する力を活かし、クライアントの事業コンセプトづくりにも積極的に関わっていくことが、これからの中小企業診断士に必須のスキルとなっていくはずです。

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