中小企業診断士の資格更新における「実務要件」とは?そのハードルと乗り越え方も紹介

そもそも「実務要件」とは?
中小企業診断士の資格は5年のスパンで更新されます。その更新要件の一つとして課されているのが実務要件です。具体的な要件は、以下の通りとなっています。
以下のいずれかを合計して30日以上行ったこと。
①中小企業に対する診断助言業務等に従事したこと。
②一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会が実施する実務補習を受講したこと。
③上記のような実習、実務補習を指導したこと。
なかでも代表的なのは「①中小企業に対する診断助言業務等」でしょう。今回は、この実務要件について紹介します。

どうしたら経営診断助言業務が実務として認められる?
実際に「中小企業に対する診断助言業務」とは、どういった業務なのでしょうか。中小企業庁によると、この業務は、以下の2つの活動に分けられるそうです。
・経営の診断助言業務:企業の経営分析や課題解決のためのアドバイスを行う業務。
・経営に関する窓口相談業務:公的機関や商工会議所などの相談員として、企業の経営課題についてのアドバイスを行う業務。
※参考:中小企業庁「Q&A 申請書、証明書等の作成要領」
すべての診断士が公的機関や商工会議所などの相談員になれるとは限りません。そのため、クライアントを探し、経営の診断助言業務を行うことで実務要件を満たすのが比較的多いと言えます。
ここで注意したいのが、「経営の診断助言業務」として認定される法人には指定があるということです。具体的に下記の法人は実務従事の対象外となっています。
・学校法人
・職業訓練法人
・宗教法人
・一般社団法人
・一般財団法人
・商工会議所
・農業協同組合
・独立行政法人 など
また、30日間の実務従事を終えたあとは、「診断助言業務実績証明書」や「窓口相談業務従事証明書」を用意します。業務に携わった日数を記載したり、経営の診断助言を行った法人の責任者に押印を依頼したりして、実務要件を満たしたことを証明します。

高い実務要件をどのようにクリアする?
自らクライアントを探し、30日以上の実務経験を積むというのは、決して低いハードルではありません。そのため、いかに実務要件をクリアできるかは、多くの診断士が直面する課題でもあります。
ここでは、診断助言業務を行って実務要件を満たす例をご紹介します。
①所属する企業で診断助言業務に従事する。
中小企業庁では、勤務先企業で実施される取引先への診断・助言活動や、勤務する企業が指定された「中小企業」であった場合、組織内での活動も実務の範囲として見なせると示しています。具体的には下記のような活動が認められます。
≪取引先への活動≫
・製造業における下請企業への経営指導活動
・卸売業におけるリテールサポート等の提案活動
・金融機関における財務診断・助言・改善への顧客指導
・関連会社が新規事業を起業する際の組織作り、会社設立指導等
など
≪所属組織内での活動≫
・所属企業の業務プロセス革新に向けた提案活動
・所属企業の経営革新に向けた活動
・所属企業の財務診断、改善のための提案活動
など
②人的ネットワークを広げて実務機会を獲得する
実は、多くの中小企業診断士が人的ネットワークによって、案件を獲得しているという調査もあります。各都道府県ごとに置かれている中小企業診断協会支部がイベントを実施していたり、各地の診断士がオンラインでテーマごとに研究会を開催していたりしています。そうした場に参加し、人的ネットワークを広げることで、実務機会を得る診断士も少なくありません。
③民間の実務従事サービスを活用する
専門知識を有する診断士と経営支援を求める中小企業をマッチングすることで、実務従事の機会を提供するサービスもあります。
サービスによっては、経営支援のスタンスや実務ノウハウなどを第一線で活躍している診断士から学べる機会を提供しているものもあり、自身のスキルアップにもつながります。

実務機会を確保して、継続的なスキルアップを
中小企業診断士の資格更新に必要な実務要件は、診断士の専門性を維持し、信頼性を確保するために設けられています。資格を保有して間もない方は身につけた知識を発揮する機会として、すでに診断士として活躍されている方は自らの実力を改めて点検する機会として、さらなるキャリアの発展につなげることができるはずです。ぜひ計画的に実務要件を満たし、スムーズな資格更新を目指しましょう。
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