経営支援はオンラインで進化する?ビズクリメソッド実践講座がオンラインを重視する理由
荒井 雄介 あらい ゆうすけ
2003年より大手IT企業にて大規模システム開発プロジェクトマネージャー及びIT戦略策定コンサルタントとして、官公庁、金融機関、製造業等数多くのプロジェクトにおいて中心的役割を担う。顧客の事業戦略策定、ITコンサルティング及びITシステム開発プロジェクトの全体マネジメントに従事している。
地方の中小企業も質の高い経営支援サービスを享受できる世界に
ビズクリメソッド実践講座では「オンラインのコンサルティング」をテーマにしたコンテンツを提供しています。上記のようなテーマを扱おうと思った背景を教えてください。
私自身、10年以上前から「オンラインでコンサルティングを提供できないか」という想いは持っていました。私が活動している長野県のような地方では、中小企業が経営に関する何かしらの支援を求めても、コンサルティングを享受するためにはハードルがあります。そうしたハードルを越えていけるサービスを提供したいとずっと考えていたんです。
そのハードルについて具体的に教えてください。
一言で言うと、同じサービスでも地方の中小企業だとコンサルティング費用が高額になってしまう構造があるんです。たとえば、地方ではクルマがないとアクセスしづらいような場所に拠点を構えている企業も多くあります。そのような立地でオフラインのコンサルティングを実施するとなると、移動に伴う拘束時間や交通費が金額に上乗せされ、相対的に費用が高くなってしまうケースがあります。かといって、地域には優れた経営コンサルタントが豊富にいるわけでもありません。
なるほど。
また、個人的には、そもそもコンサルティング自体、オフラインじゃなくていい場面も多くあると思っています。そのような場面をオンラインに切り替えるだけで、支援する側も、支援される側もコストを抑えることができます。
最終的に実現したいのは、場所や時間にとらわれることなく、どんな企業でもカジュアルに経営コンサルティングサービスを享受できる世界です。オフラインで発生していた時間や工数、費用などの不要なコストを削減することで、より経営者が経営戦略の策定に集中しやすくなればいいと考えています。
地方の中小企業にとっては経営コンサルティングを受けられる機会が増えて、支援者側にとっては地理的な制限を超えて顧客を増やしていくことができると?
はい。コロナ禍を経てワークスタイルが変化したことも追い風になっています。地方の中小企業を含め人々のITリテラシーが向上したり、Web会議やデータ管理などオンライン関連のインフラが整備されたりしたことで、ますますオンラインでのコンサルティングは実行しやすくなっていると思います。
オンラインを取り入れることで経営支援の質は高まる
ビズクリメソッド実践講座は「理念・ビジョン・経営戦略・計画実行」を一気通貫で考えるアプローチが特徴的です。このようなアプローチについて、荒井さんはどのように考えていますか?
理念やビジョンは、とても大切だと思います。かつて私は外資系コンサルティング企業に勤めていたのですが、働く人たちのマインドや行動がグローバルレベルで統一されていました。その要因として、組織内に強力なビジョンが存在していて、毎日の何気ないメールのやり取りの中にも、そのビジョンが息づいていたからだと考えています。
わざわざ研修を実施して「いざ、組織の理念やビジョンについて考えましょう」とするのもいいですが、日常的に組織内で言葉が流通していて、理念やビジョンが正しく共有されている状態をつくることで、組織は強くなっていくんです。
たしかにリモートワークが普及し、メンバー同士顔を合わせることなくオンライン環境で働くことも当たり前になってきた今だからこそ、毎日やり取りするメールやチャットの文言に理念やビジョンが反映されている状態が大切なのかもしれません。
しかし、ここで立ちはだかるのが、いかに強度のある理念やビジョンを描くか、という問題です。それまで理念やビジョンづくりに取り組んだことがなかったり、言語化のプロではない経営者の方々にとって、自力で1から理念やビジョンをつくろうと思っても、なかなか難しいのが現実だと思います。
そんなときに専門的なノウハウを持ってサポートしてくれるパートナーが必要です。ビズクリメソッド実践講座の受講者が、そんな存在になれたらいいなと思います。
先ほどの話の通り、それまで経営支援の手が行き届かなかった地方の中小企業の選択肢になれたらいいですね。
もちろん実際に経営支援を行っていくと、最初から最後まですべてオンラインで経営支援を実施するのが難しいケースも出てくるかもしれません。オンラインで腹を割って話すことが苦手な経営者の方もいますし、支援者自身も細かいニュアンスを拾うのが難しいからです。
そのような場合は、最初は対面でワークショップを実施して想いを引き出し、内容の整理やアウトプットのディスカッションなど具体的な話になってきたらオンラインに切り替えるなど、バランス良く使い分けるのがいいでしょう。作業レベルになってきたら、手軽にログを残して共有できるオンラインはとても便利だと思います。
オフラインとオンラインを組み合わせていく、と。
オンラインという選択肢が増えた分、オフラインの意味や価値が浮き彫りになるのもメリットです。それまで、なんとなく毎月訪問して経営支援を行っていた人にとってみたら「こうして訪問することにどんな価値があるんだろう」と問い直すことになり、あえて訪問するとしたら現地では本当に意味があることを実施しようと考えるはずです。その結果、提供している経営支援のサービスの質が向上していくと思っています。
経営支援にオンラインを取り入れることで、作業フェーズの取り組みが加速化・省力化ができたり、オフラインの場の質が向上したりするんですね。
AIでデータを分析しながら、ビズクリも育てていく
ビズクリメソッド実践講座では、ビズクリメソッドの実践を支援するITツール・ビズクリクラウドに関するコンテンツも担当されています。このビズクリクラウドの価値や可能性について教えてください。
私が考えるビズクリクラウドの価値は、主に2つあります。ひとつは、どんな人にも使いやすい設計です。今は「Miro」や「Notion」など、情報を整理するさまざまなオンラインツールが登場しています。ただ、これらのツールを十分に使いこなすには相当なリテラシーが必要です。だからこそ、あえてフォーマットを固定して「まずはこの基本形に取り組んでくれればOK」だと示し、リテラシーを問わない設計にしました。
もうひとつの価値はなんでしょう?
データ活用によってビズクリ自体のサービスを発展させていく起点になることです。まだ構想段階ではあるんですが、AIを用いてさまざまな企業の「理念・ビジョン・経営戦略・計画実行」づくりに関するデータをビズクリ側で分析することで、ビズクリ自体のサービスをアップデートしていきたいと考えています。
たとえば、ビズクリクラウドを使って理念を考えている際に行き詰まったら他の企業の支援事例からヒントを出せるようになるかもしれません。ビズクリサポートで企業の経営支援を行う認定コンサルタントに最適な支援の方向性を示すこともできるかもしれません。
ビズクリクラウドによるデータの蓄積を通じて、ビズクリというブランド自体も育っていく。
また、フォーマットを固定していることは、AIによる分析を行いやすくするという目的もあります。フォーマットがバラバラなままでデータを蓄積していては、AIも分析することができませんから。
まだ今は「ビズクリ1.0」のようなステータスです。データ活用を通じて、「ビズクリ2.0」「ビズクリ3.0」のような進化を遂げることができたらいいなと思います。
ビズクリメソッドを土台に、それぞれの受講者の個性を掛け合わせて
ビズクリメソッド実践講座を通じて、どんな価値を提供したい・どんな世界を実現したいと考えていますか?
一定水準の能力をしっかり担保しながら、個性豊かな支援者が揃っているブランドにしたいです。ビズクリメソッド実践講座で提供しているノウハウや身につく知見は、支援先に価値を提供する上での土台に過ぎません。この上に、受講者のみなさんの経験や専門知識を掛け合わせることで、価値ある支援が提供できると考えています。
一定の品質と豊かな個性を両立したブランドに育てていきたいと。
たとえば、ビズクリメソッド実践講座を受講される中小企業診断士の方の中には、財務に強い方、マーケティングに強い方、人事・労務に強い方など、さまざまな方がいらっしゃると思います。そうした方が、それぞれの機能別の戦略策定や推進を支援するだけじゃなく、全社レベルでの戦略策定・推進を支援できるようになれたらいいなと思います。
また、そうした専門分野がなかったとしても、たとえば大企業の経営企画室などで働かれている企業内診断士の方が培ってきた業務推進のノウハウは、地方の中小企業にとって新鮮で役に立つ知見になりうると思います。
たとえば、企業内診断士の方が、副業などで他社の経営支援にチャレンジするきっかけになったりしたら嬉しいですね。
ビズクリメソッド実践講座の中では、副業を行いたい方を想定した内容も盛り込みました。これまで自らの専門知識を磨きながら経営支援に携わってきた方、組織内で経営企画などの業務に携わってきた方など、さまざまなバックグラウンドを持つ中小企業診断士の方にオンラインという新たな軸と可能性を提供することで、素敵なキャリアが開かれていったらいいなと思います。
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