「現場が動かない」の正体。新システムを導入する前に整理しておく4つのこと

「現場が動かない」の正体。新システムを導入する前に整理しておく4つのこと

「現場が動かない」の正体。新システムを導入する前に整理しておく4つのこと
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新しいシステムの導入が決まった。ところが、現場部門との打ち合わせが思うように進まない。日程が押さえられない。要望を聞いても具体的に出てこない。稼働が近づくと「今のやり方のほうが早い」という声が聞こえてくる——。導入プロジェクトが止まるとき、原因は選んだ製品の機能ではなく、その手前の進め方にあることが少なくありません。この記事では、現場部門と一緒に進めるための整理の順番をまとめました。

この記事でわかること

  • 「協力してもらえない」と見える状態の内側で、実際に起きていること
  • システムを決める前に、社内で整理しておきたい4つのこと
  • 誰に、いつ、何を伝えるか——合意形成の順番

「協力してもらえない」の中身

現場部門が動かないとき、反対されていると受け取ってしまいがちです。ただ、個別に話を聞いてみると、反対しているわけではないことがほとんどです。

現場が協力的でないように見える4つの状態と、その内側で実際に起きていることの対応表
現場の姿勢ではなく、情報が届いていないことが原因になっています

とくに多いのが、いちばん上の「優先順位が伝わっていない」という状態です。現場の担当者にとって、システムの入れ替えは通常業務に上乗せされる仕事です。上長から「この件に時間を使ってよい」と言われていなければ、目の前の業務を優先するのが当然の判断になります。

「要望がまとまらない」も、同じ構造です。予算や時期、変えられない前提が共有されていない状態で要望を聞くと、全員が理想を述べることになります。集まった要望は実現できないものを多く含み、絞り込む段階で今度は不満が生まれます。制約を伝えてから聞いていれば、防げたはずのものです。

いずれも、現場部門の姿勢の問題ではありません。判断に必要な情報が、まだ届いていない状態です。そして情報を届ける役割は、多くの場合、情報システム部門だけで担えるものではありません。

システムを決める前に、整理しておく4つのこと

製品の比較や機能の検討に入る前に、社内で決めておきたいことがあります。順番が逆になると、選定の途中で前提が動き、やり直しが発生します。

システムを決める前に整理する4つのこと。いまの業務の流れ、変わること変わらないこと、移行期間の負担、要望の優先順位の決め方
4つとも、システムの機能ではなく業務の話です

この4つのうち、実務でいちばん効くのは3つ目の「移行期間の負担を、誰が持つか」です。並行運用の期間、データの整理、新しい操作を覚える時間。これらは確実に発生するにもかかわらず、計画に書かれないことがあります。

現場の担当者から見れば、この負担を通常業務に上乗せされるのか、その間は他の業務を減らしてもらえるのかは、引き受けるかどうかを左右する条件です。ここが空白のまま協力を求めると、返ってくるのは沈黙になります。逆に、「この3か月は残業が増える見込みで、その分は◯◯で調整する」と示せれば、話は具体的になります。

2つ目の「変わらないこと」を先に示すのも、効果があります。導入の説明では、変わる部分ばかりが並びがちです。しかし受け取る側にとっては、いまの仕事のどこがそのまま残るのかが分かることで、不安の総量が下がります。全部が変わるわけではないと分かってから、変わる部分の話に入るほうが、聞いてもらえます。

誰に、いつ、何を伝えるか

合意形成は、説明の回数ではなく順番で決まります。同じ内容でも、伝える時期がずれると受け取られ方が変わります。

システム導入における合意形成の5ステップ。検討前、要望収集前、決定時、導入前、稼働後に誰へ何を伝えるかを示した図
説明の回数ではなく、順番で決まります

この中で、最も飛ばされやすく、そして最も影響が残るのがSTEP 03です。集めた要望のうち、採用しなかったものについて、その理由を返す。

要望を出した側は、自分の意見がどう扱われたかを気にしています。採用されなかったこと自体は、理由が分かれば受け入れられます。予算の範囲を超えていた、他の業務と両立しなかった、次の段階で検討することにした——説明されれば納得できる理由がほとんどです。

返さなかった場合に起きるのは、その案件での不満だけではありません。次に意見を求められたとき、「言っても反映されない」という前提で受け取られます。一度そうなると、要望が出てこない状態が続き、現場の実態が見えないまま検討を進めることになります。

STEP 05の「不都合を戻す先を決めておく」も、同じ理由から重要です。稼働後に困りごとが出るのは避けられません。それを言う場所があると分かっていることが、使い続けてもらえるかどうかを分けます。

情報システム部門が「押しつける側」にならないために

ここまでの内容は、どれも情報システム部門だけで完結するものではありません。現場に時間を使ってよいと伝えるのは部門長の役割ですし、移行期間の負担をどう調整するかは経営の判断です。

それにもかかわらず、導入プロジェクトでは情報システム部門が窓口になるため、現場から見ると「システムを持ち込んできた側」に映ります。決定権はないのに、説明と調整だけを担う立場になりやすい構造です。

これを避ける方法はひとつで、誰が何を決めるのかを、着手の時点で明示しておくことです。情報システム部門の役割は、業務の流れと影響範囲を整理して見えるようにすること。決めるのは経営と各部門。この線が引かれていれば、現場との対話は「押しつけ」ではなく「一緒に決める作業」になります。

そしてこの整理は、システム導入のためだけのものではありません。業務の流れを書き出し、変わる範囲を確認し、役割を決める。これは業務プロセスの見直しそのものです。システムはそれを支える道具であって、順番としては業務の整理が先にあります。

それでも、社内だけでは決めにくいとき

関係する部門が多いほど、社内だけで進めるのは難しくなります。どの順番で誰に話を通すか。部門間で要望が対立したとき、何を基準に決めるか。経営にどこまで判断を上げるか。当事者として関わっているほど、全体を俯瞰しにくくなる部分でもあります。

ビズクリサポートでは、こうした場面で30分の無料相談をお受けしています。扱うのは製品の選定ではなく、業務の整理と社内の合意形成をどう進めるかという部分です。導入するものが決まっていない段階でも、すでに動き出している案件でも構いません。事前準備は必須ではありません。


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