誰が、何のサービスを使っているか。SaaS棚卸しを一度きりで終わらせない進め方

誰が、何のサービスを使っているか。SaaS棚卸しを一度きりで終わらせない進め方

誰が、何のサービスを使っているか。SaaS棚卸しを一度きりで終わらせない進め方
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経理から「このサービスの請求、何に使っているものですか」と問い合わせが来る。退職した担当者のアカウントが、まだ有効なままになっている。ある部署が独自に契約していたツールの存在を、更新のタイミングではじめて知る——。クラウドサービスが業務のあちこちに入り込んだ結果、全体像が把握しにくくなっている企業は少なくありません。この記事では、棚卸しを一度きりの作業で終わらせないための、項目の立て方と進め方をまとめました。

この記事でわかること

  • 利用状況が把握しにくくなるのは、管理体制ではなく仕組みに理由があること
  • 棚卸しシートに入れておきたい項目と、その粒度
  • 洗い出した結果を、費用・リスク・来期の計画につなげる方法

見えなくなるのには、理由があります

把握できていない利用があると分かったとき、管理が行き届いていなかったのではないか、と感じる方は多いと思います。ただ、これは担当者の目配りの問題ではありません。仕組みとして、そうなりやすい構造があります。

SaaSの利用状況が見えなくなる4つの理由。現場判断で契約できる、契約者の異動退職、無料から有料への移行、権限が減らない構造
いずれも、日々の業務が回っているからこそ起きることです

とくに影響が大きいのが、契約者の異動と退職です。申し込んだ本人がいなくなると、なぜそのサービスを選んだのか、どの業務で使っているのか、代わりのものはあるのかといった情報が一緒に失われます。残るのは請求だけで、判断材料がない状態になります。

権限についても同じことが起こります。担当が変わるたびに権限を追加する場面はありますが、外す作業は緊急性がないため後回しになります。追加は都度発生し、削除はまとめて行われる。この非対称が続くと、管理者権限を持つ人が想定より多い状態になります。

これらは、現場が勝手なことをしているという話でもありません。必要に迫られて導入し、業務を回してきた結果です。責任の所在を探すよりも、定期的に見る仕組みをつくるほうが実務的です。

棚卸しシートに入れておきたい項目

洗い出しを始めるとき、最初につまずくのは「どこまで調べるか」です。完全な情報を集めようとすると、着手する前に止まります。まずは一覧に載せることを目的にして、次の項目を用意します。

SaaS棚卸しシートに入れる項目。何を、誰が、権限とアカウント、いくら、判断の5分類で整理した図
埋まらない欄があること自体が、確認すべき箇所を示しています

いくつか、粒度について補足します。

利用人数は、契約人数と実際の利用人数を分けて書きます。この2つが離れているものが、見直しの候補になります。10人分の契約で3人しか使っていないサービスは、契約を減らすか、使われていない理由を確認するかの判断が必要です。

契約更新日には、解約の申し出期限も併記します。更新日だけを記録していると、気づいたときには自動更新が済んでいる、ということが起こります。「更新の30日前まで」といった条件は、更新日とセットで持っておく情報です。

支払方法は、見落としやすい項目です。情報システム部門の予算から出ているものは把握しやすい一方、各部署の経費で処理されているものは一覧に上がってきません。経理の支払データと突き合わせると、想定していなかったサービスが出てくることがあります。

この作業は、入退社や異動が集中する時期の前後に行うと効率的です。人事の異動情報とアカウントの状況を同時に確認できるためで、年度の切り替わり時期は、棚卸しに向いたタイミングといえます。

洗い出したあと、3つの判断につなげる

棚卸しが一度きりで終わってしまうのは、一覧をつくること自体が目的になっているときです。つくった表は数か月で実態と合わなくなり、次に必要になったときには、また一から集め直すことになります。

そうならないために、洗い出す前に出口を決めておきます。

SaaS棚卸しの3つの出口。費用の見直し、リスクの低減、来期の計画への接続
出口があるから、毎年見直す意味が生まれます

出口を先に決めておくと、洗い出しの粒度も決まります。費用の見直しが目的なら金額と利用人数が要りますし、リスクの低減が目的なら権限とアカウントの状況が要ります。目的が定まらないまま全項目を埋めようとすると、作業量だけが増えます。

そして、3つ目の出口——来期の計画への接続が、最も見落とされやすい部分です。棚卸しの結果は、翌年度のIT予算を組むときの根拠になります。契約更新日が分かっていれば検討の時期を先に置けますし、重複や統合の候補が見えていれば、施策として稟議に載せられます。単なる整理作業だったものが、来期の計画をつくる材料に変わります。

この接続まで含めて考えると、棚卸しは情報システム部門の内部作業ではなく、経営に報告できるテーマになります。「使っていない契約を整理して年間◯万円削減できる見込みです」「管理者権限を持つ人数を◯名から◯名に絞りました」——いずれも、報告する価値のある内容です。

それでも、社内だけでは決めにくいとき

一覧が埋まってきたあとに、判断がつきにくい部分が出てきます。どこから手をつけるか。部署が使っているものを整理するとき、どう話を持っていくか。削減した結果をどう報告すれば、来期の施策につながるか。作業そのものより、その前後の判断で止まることが多いテーマです。

ビズクリサポートでは、こうした場面で30分の無料相談をお受けしています。棚卸しの結果を、費用の見直しやリスクの低減、そして来期のIT計画へどうつなげるか。整理の途中でも、これから始める段階でも構いません。事前準備は必須ではありません。


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